映画『人生フルーツ』を見た。不思議な映画です。
映画『人生フルーツ』は、愛知県の高蔵寺ニュータウンの一角にある平屋で暮らす建築家夫婦を追ったドキュメンタリー。
私の実家は高蔵寺ニュータウンにあったので、懐かしさもあって、見ました。
建築家夫婦・・・夫の修一さんは90才、建築家。妻の英子さんは87才。
修一さんは、高蔵寺ニュータウンの設計担当者で、初期の頃の設計に携わったようだ。しかし、理想の設計を実現できず、挫折感があったようである。そのため、高蔵寺ニュータウンに300坪の土地を購入して、雑木林を作って生活を始める。そこから2人の不思議で豊かな生活が始まることになる。
修一さんは高蔵寺ニュータウンの高森山にどんぐりを植えるなどの活動をして、地域活動もしてきた。コミュニティの理想の形を追っていたのかもしれない。2人の生活は効率主義の生活に対するアンチテーゼでもある。
食べる野菜の多くは自家製で、購入するものも厳選された自然食品である。
「コンビニで買ったことがない」と英子さんは言う。
2人が元気で長生きしているのも、そのような生活が影響しているのだろう。
2人とも力があり、ほぼすべてのことは自分たちでできる。
その元気さと創意工夫には頭が下がる。
『ときをためる暮らし』という著作もあるが、まさにそのような生活である。
豊かに時間が流れていく。
英子さんはいくつかの本を出していて、おしゃれな感じになっているが、その背後には、大量生産、大量消費に流されないという気持ちがあると思う。
というわけで、見る視点によって、いろいろな見方ができる不思議な映画です。一度ごらん下さい。